キミは当て馬、わたしはモブ。
ヒロインになれる確率


 はぁ……アカネちゃんに、気持ち知られちゃった。


 今までこんなに学校に行くのが憂鬱だったことはないだろう。


 あの後のファミレスでは、ずーっとにこにこ見つめられながらパフェを食べて、味なんてわからなかったよ……。


 でも、どうなんだろう。ちょっとすっきりした気もする。


 どうせこんな気持ち、しばらくは伝えられるはずもないんだから。


 だからちょっとでも誰かに話せて、楽になれたかも。


 昇降口に入ると、ちょうど帝塚くんが下駄箱を開けようとしているところだった。


 声をかけるのに、少しの緊張。



「て、帝塚く――」



 ダバーーーー。



「えぇ……?」



 開かれた彼の下駄箱から滝のように流れたのは――漫画でしか見たことのない量の便箋の山。


 それを見て、わたしは完全に不審物を見るような声を出してしまう。


 挨拶するのにいちいち緊張なんてしてられる状況じゃなかった。



「あ、佐久良……」



 突然の出来事に呆然と立ち尽くす帝塚くんと目が合う。



「……おはよ、帝塚くん。あの、どうしたの、これ」


「おはようございます。俺にも、さっぱりで……」



 自然と二人でかき集め始める。


 片手じゃ絶対に持ちきれない量の便箋を、二人がかりでようやく腕の中へ納める。


 い、いったい何が起こってるの……?

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