キミは当て馬、わたしはモブ。
とりあえず教室に向かうことにした。
心なしかいつもより周りの目線が刺さるような……?
「ありがとうございます。手伝っていただいて」
「ううん。それはいいんだけど……本当に心当たりないの?」
「何もないですよ。入れる場所を間違えたとしか思えないですが……」
「『帝塚秀司くんへ♡』……って、書いてあるけど」
「……なるほど」
この非常事態のおかげで帝塚くんへの態度が変にならなくて済んだのはよかったけど。
これって、もしかして……。
――帝塚くんの、モテ期ってやつ?
最悪だ。よりにもよって、なんでわたしが頑張ろうとした矢先に。
帝塚くんは困った様子で手紙に自分の名前が書かれていることを確認している。
「嬉しくないの? いっぱい手紙もらえて」
「嬉しく、ないわけではないですが……。簡単に返事できるような量でもないですよね」
「まぁ、返事は中身を見てから考えたら? 内容がどんなものかもわからないんだし」
わたしの手にあるやつは、全部ラブレターっぽいけどね。
「じゃあ、一緒に見てもらえますか?」
「え、嫌だけど」
普通に嫌だよ。誰かが書いた好きな人へのラブレターなんて。
それに、書いた人だって帝塚くん以外に見られたくないでしょ。