キミは当て馬、わたしはモブ。


 心なしか帝塚くんが悲しそうな顔をしている気がする。


 どうにか、しないと。とりあえず、何か言い訳を――



「てっ……『帝塚秀司の好きなところ五選』!」


「……えっ?」


「第五位! い、イケメンなところ!

第四位! えっと……変なところ? 変なところ!

第三位! 笑顔がかっこいい、ところ!

第二位! 頑張り屋なところ!


――そして第一位! わたしのことが好きなところ!」



 一気に吐き出して、ぜぇはぁと息を整える。


 言いたいことは一位だけだから、他はどうでもよくて適当なことを言ったけど。


 ど、どうだ!? これで少しは挽回できたんじゃないかな!?


 ちょっと卑怯だけど、これでさりげなく帝塚くんの気持ちを聞けるし……っ!


 帝塚くんはまくし立てたわたしにあっけを取られ、ぽかんと固まっている。


 びっくりして内容が頭に入ってなかったとか、ないよね?



「……あの……」



 と心配していたら、彼はじんわりと頬を赤らめていった。


 あ、伝わってるっぽい。



「…………」



 だけど、それ以上帝塚くんが声を出すことはなかった。


 照れてるだけなのかもしれないけど。


 もうちょっとなんか、反応してもらわないとさ……。

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