キミは当て馬、わたしはモブ。
一旦恥じらいが怒りに変わったら逆に冷静になってきた。
とりあえずこの眼鏡はわたしを解放する気がゼロみたいなので、わたしは席に座れなくて困ってる。
「帝塚くんて、付き合ったらこんな感じなんだねぇ……」
「まぁ、佐久良は俺のことが好きですからね」
「そ、そっか」
どや顔で言い放つ帝塚くんに、アカネちゃんは苦笑を返した。引かれてるよ。
わたしはすっかりこいつの変なところに慣れてしまって軽くあしらいつつあるけど、アカネちゃんにとっては意外な一面に見えるよね……。
ちゃんとわたしが手綱を引いて、暴走しないように見張らないと。
か、彼女、なんだし。
まぁそれはそれとして。わたしの肩を顎置きにして休憩させている帝塚くんの脇腹に、肘の一突きをプレゼント。
思ったよりも深く入ったみたいで、帝塚くんは苦しそうに腹を押さえていた。
「はい、おしまい」
「……ごほ。佐久良、付き合うって難しいですね」
「そ。頑張って」
そしてやっと席に座る。
……ただのバカップルじゃん、わたし達。恥ずかしすぎる。
さすがに目立ったのか、今の一連をクラス中に見られてしまった。とはいえなんとなくバレていたのか、誰からも驚いた様子は感じなかったけど。