キミは当て馬、わたしはモブ。
「それって、アカネちゃんのときはどうなの?」
「え? あたし?」
「中村くんと部屋で二人きりになったことあるんだよね?」
「ん? うん、いっぱいあるけど……?」
つまり、今の情報から推測できることは――っ!
わたしの言いたいことに気付いたアカネちゃんはハッとして、
「やだなぁ和花ちゃん! 優斗はあたしになんて興奮しないよ? あたしに……なんて……ははっ、やだなぁ……」
「あっ、アカネちゃん、さすがにそれ以上は、いたたたっ! ちょっ、ぶ、分裂するっ!」
「わー! ごめん!」
二人して変に疲れたまま交代。今度はわたしがアカネちゃんの背中を押す番になった。
彼女は体が柔らかい。補助の必要が本当にないくらいに。
「……つまり、優斗はあたしなんて対象ですらないってことだ」
膝に顔を押し付けながら弱音を吐くアカネちゃん。
わたしの予想も大ハズレで、落ち込んだ気分が移る。
……ごめんなさい。絶対、推しカプに干渉しようとしたバチが当たったんだ。
「まぁ、そんなことは置いといて!」
パッと明るくアカネちゃんは振る舞いを切り替える。
強い子だなぁ、なんて思っているとくるっとわたしの方を振り向いた。
「というわけだから、いくら帝塚くんでも用心しといた方がいいと思うよ!」
「よ、用心って……」
色々な考えが頭を駆け抜けて、顔が熱くなる。
き、肝に命じておきます。