キミは当て馬、わたしはモブ。



「それって、アカネちゃんのときはどうなの?」


「え? あたし?」


「中村くんと部屋で二人きりになったことあるんだよね?」


「ん? うん、いっぱいあるけど……?」



 つまり、今の情報から推測できることは――っ!


 わたしの言いたいことに気付いたアカネちゃんはハッとして、



「やだなぁ和花ちゃん! 優斗はあたしになんて興奮しないよ? あたしに……なんて……ははっ、やだなぁ……」


「あっ、アカネちゃん、さすがにそれ以上は、いたたたっ! ちょっ、ぶ、分裂するっ!」


「わー! ごめん!」



 二人して変に疲れたまま交代。今度はわたしがアカネちゃんの背中を押す番になった。


 彼女は体が柔らかい。補助の必要が本当にないくらいに。



「……つまり、優斗はあたしなんて対象ですらないってことだ」



 膝に顔を押し付けながら弱音を吐くアカネちゃん。


 わたしの予想も大ハズレで、落ち込んだ気分が移る。


 ……ごめんなさい。絶対、推しカプに干渉しようとしたバチが当たったんだ。



「まぁ、そんなことは置いといて!」



 パッと明るくアカネちゃんは振る舞いを切り替える。


 強い子だなぁ、なんて思っているとくるっとわたしの方を振り向いた。



「というわけだから、いくら帝塚くんでも用心しといた方がいいと思うよ!」


「よ、用心って……」



 色々な考えが頭を駆け抜けて、顔が熱くなる。


 き、肝に命じておきます。

< 165 / 219 >

この作品をシェア

pagetop