キミは当て馬、わたしはモブ。
リビングに通すか、わたしの部屋に通すか迷ったのち、わたしの部屋に通した。
早くゲームをしたい気持ちがあったのもそうだし、ちょっとでも帝塚くんと距離を縮めたかったのもある。
わたしの部屋の方が狭いし、必然的に座る距離が近くなるからだ。
わたしだってそういうことは考えてしまう。恋人と二人きりなんだから。
帝塚くんを部屋に案内して、わたしは一人でキッチンにお茶を取りに行く。
今、わたしの部屋に帝塚くんがいると意識すると恥ずかしくて堪らなかった。
「帝塚くん、お待たせ――」
と、お茶とお菓子を持って部屋に入ると。
部屋の片隅で、ピシッと正座をして固まる帝塚くんがいる。後ろにベッドがあるからもたれていいのに、絶対にしないという意思が伝わってくる。
顔も強張っていて、どこか一点を見つめているようだ。
もしかして、帝塚くんも緊張してる?
お茶とお菓子を机に置いて、静かに帝塚くんの隣へ座った。
「……」
「……」
「……人生で三度目の緊張?」
「…………はい」
なんかいつもそのときにならないと緊張しないよね。
なんだかそれが面白くて、思わず笑いがこぼれ出る。
「……佐久良も今度俺の部屋に来たらいいです。同じ気持ちを体験してください」
「はいはい、今度ね。今はこのまま頑張ろ?」
帝塚くんの肩にもたれかかる。わたしの笑いが止まるまでそのままだった。