キミは当て馬、わたしはモブ。


 と思ったら帝塚くんの足が痺れて、今は床に転がっている。


 ますますわたしの笑いが止まらない。



「ふ、ふふっ……帝塚くん……っ、わたし楽にしていいよって言ったよ?」



 帝塚くんが抑えている足をツンツンと指で突くと、彼はビクッと痙攣してプルプル震えている。


 笑い声が我慢できなくて口で抑えるけど、それすら貫通してしまう。



「ふっ、あはは、あはっ――うわっ!?」



 ツボにハマっていると、急にグイっと腕を引っ張られ、わたしも床に倒された。


 穏やかな顔の帝塚くんがわたしを見つめている。


 二人して横になって、しばらく顔を見合わせた。時間の進みが遅く感じる。むしろ、止まってるみたいだった。



「佐久良、寝不足ですか? 目の下が少し……」


「あっ……」



 目の下を軽く触られただけで、過剰に反応してしまった。


 顔がみるみる赤くなるのを間近で見られて、余計に恥ずかしい。


 なんというか、甘い雰囲気なのはわかる。でも、それが耐えられるかどうかは別だ。


 何かするなら一思いにしてほしいし、こうやって何もない時間はドキドキする。


 だから触るだけじゃなくて、もっと……。



「さて。そろそろゲームを始めましょうか。足も治りましたし」



 帝塚くんは体を起こしてゲームの準備を始めた。


 ……何もしないんかい。

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