キミは当て馬、わたしはモブ。
「今変なこと言ってるなと思ったでしょう」
「うん」
「そのせいで周りに人が寄ってこず、道が分かれませんでした」
「なるほど……ではないでしょ。自分から話しかけないせいでしょ」
「はい。ではこの状況は?」
「あー………………」
まんまと巻き込まれてる……。
「たまたま自分から行動を移してみようと思ったときに、ちょうどキミが二人を見ているのに気付いたわけですね」
「なんてタイミング……」
「運命ですね」
ひっ、その言い方ちょっとオタクに刺さるからやめて。
あっ、わかって言ってる。カップリングを調べたついでにオタクのことを完璧に調べあげてる、この人。
「ふっ……」
笑われた……。
「わたしは何もしないからね」
「いいですよ。俺から動きますから」
「うわぁ……」
変なやつにターゲットされてしまった。
一番怖いところが、帝塚くんにとってアカネちゃんとの恋愛成就は決してゴールではないところだ。
きっと、付き合えた世界線、フラれた世界線として捉えるんだ。
なーにが枝分かれだよ。
わたしは何を言われても行動を変えないから。
わたしは、本当に、何もしないからね!