キミは当て馬、わたしはモブ。
本当に、優アカに出会ってからわたしの尊み供給が枯れることがなくて助かっている。
主にアカネちゃんの功績で、中村くんの気持ちは全然見えないけど。
それでも好きな人を気にするってことは、一定の気持ちは超えてると思うんだよね。
ああ、ニヤニヤが止まらない。隠すのが大変だ。
そうやってわたしが至福の時間を堪能していたら、
「佐久良、俺のことを考えてニヤニヤしてください」
邪魔する男が、まぁいつものようにやって来るよね。
「わたしのにやけ顔は二人のためのものなの」
「じゃあ、俺だけの佐久良の顔ってなんですか?」
ある前提なんだね。
とはいえ、ひとつ思い付いたものがあった。
でもおおっぴろげに言えることじゃない。かなり勇気が必要な言葉だった。
帝塚くんは、すごく期待に満ちた顔で待っている……。
……今だけ、特別だからね。
「……の顔……」
「え?」
手招きをして、帝塚くんの耳にそっとささやく。
「………………キスの、かお……」
言う前から熱かったけど、言った後はさらに体中が熱くなった。
わたし、本当に何を言ってるんだろう。ていうか帝塚くんが何を言わせてるんだ。