キミは当て馬、わたしはモブ。
ただのクラスメート……というにはかなり図々しい。
でも友達でもない。他人って言いたいけど、そこまでよそよそしくもない。
クラスメート以上友達未満、他人希望。
うん……まぁ今はまだ……。
「共通の話題があって、気に入られた、みたいな……?」
「えっなにそれ! 共通の話題ってなに?」
「それは秘密」
「えー! 和花のイジワル!」
可愛いなわたしの友達。彼氏ができてからますます魅力上がってない?
あぁいや、そうじゃない。
こんな感じで、周りのわたしを見る目が変わってしまったのがだいぶ問題なんだよね。
ごくごく普通の女子高生で、可もなく不可もなく。そんな感じの日常を送りたいわたしにとって、目立つっていうのは結構ストレスがかかる。
人の視線がチクチク刺さって落ち着かない。
帝塚くんって、自分が注目される側の存在だってわかってるのかなぁ。
「……ほら、やっぱりそうなんだって」
「いや、そうと決まったわけじゃないだろ……」
「だってそうじゃないとこんなに露骨に接近しないでしょ!」
「た、ただの友達かもしれないじゃん」
後ろからひっそりと推しカプの声が聞こえて、肩が跳ねる。
えっ……もしかして、わたしの話してる?
いやいや。ちょっと自意識過剰になってるだけだよね。