キミは当て馬、わたしはモブ。
ほんとにただの幼なじみ?


 起きる。絶対起きる! 明日こそは!


 アラームをセットしたスマホを願掛けのようにぎゅっと握ってから、枕の隣に置く。


 辻アカネ、高校二年生。


 最近の悩みは、早起きができないこと。


 今までは幼なじみの優斗が起こしてくれるからと何も感じてなかったけど、あるとき気付いたのだ。



 優斗は――起こすよりも起こされる方が好きだということを!



 きっかけは優斗の家に遊びに行ったときに見つけた漫画だった。


 優斗は最近ベッドに近付かれるのを嫌がるようになっていた。そんなのめちゃくちゃ怪しくて、どうにか優斗がいない隙にまさぐってみたのだ。


 そして、それは枕カバーの中から出てきた。


 『俺の幼なじみが毎朝ベッドにもぐり込んで起こしてくるんだが』というタイトルの、ベタベタなラブコメ漫画が。


 表紙を見た瞬間あたしの頭は宇宙になっちゃったね。


 その後すぐに優斗が戻ってくる気配がして、その漫画は元に戻した。


 で……自分で買っちゃった。すっごく読み込んじゃった。


 『俺の幼なじみが毎朝ベッドにもぐり込んで起こしてくるんだが』――略称は、『おさもぐ』。


 あらすじはタイトルの通り。主人公が大好きで積極的にアピールする幼なじみの女の子と、それをうざがってるけどなんだかんだ嬉しい主人公の男の子のお話。


 感想を言えば……その、男の子が好きそうだなぁって感じ、かなぁ?

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