キミは当て馬、わたしはモブ。


 優斗ってば、隠れてこんなの読んでたんだっていろんな意味でドキドキした。


 一線を超えないような適度なお色気要素が見てて耐えられなくなってくるんだよ。これなら普通にエロ本だった方がよかったかもしれない。


 そんなわけで、本当の優斗は起こすより起こされたいのかなって思った。


 後は……あたしがちゃんと起きられるようになれたら。


 優斗に恋愛させてあげられるのかなって。


 だって優斗、あたしが起きられないから先に彼女作らないなんて口約束、律儀に守ってるんだよ。


 ……ううん、あたしが無理やり守らせてるんだけどさ。


 でもそれも、もうおしまいだ。


 あたしのわがままだけで優斗を縛るなんて間違ってるんだ。



「というわけで、今日はもう寝る!」



 ガバッと布団を肩まで被って目をつぶる。


 ぐるぐると今までの優斗との思い出が頭をよぎっていく。


 呆れることがあっても一緒にいてくれた。


 あたしのわがままに付き合ってくれた。


 初めて出会ったときから、ずっと。


 ごろりと寝返りをして横になる。


 そしたら、目と目の間を冷たいものが通りすぎていった。



「彼女……できたらやだなぁ……」



 でも、あたしにはそんな発言権ないんだ。

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