キミは当て馬、わたしはモブ。


 こういうとき優斗があたしに興味が薄くてよかった。不服だけど。


 優斗は「ふうん」とあたしから目を逸らして、立てた膝に肘を乗せて頬杖をつく。



「……まぁ、そのままでいいんじゃないの」



 そして、ポツリと呟いた。


 あたしはムッとなって口をとがらせる。



「えーでも、それじゃ意味なくない?」


「っ、だから!」


「ぎゃわっ!?」



 優斗は端っこに寄っていた毛布を掴んで、あろうことかあたしに投げつけてきた。


 一気に視界は暗転。


 外の空気を吸おうともがくも、優斗が押さえつけてきて出られない。


 なっ、なんで!? あたし、気に障ること言っちゃった!?


 だんだんと蒸し暑くなってきて、空気が薄くなってくる。


 苦しいなって思ってたら、毛布の外側で籠もった声が聞こえた。



「アカネはそのままで……その……十分だってことだよ!」



 ……。


 …………。


 …………?


 え、だから、それは意味ないよね?


 そのままだと魅力ないなら、あたしは一生魅力ないままってことになるけど。


 優斗って、そこまであたしにモテてほしくないの?


 ん? でもそれだと、優斗も一生彼女ができないわけで……。


 つまり、どうなってるの?


 優斗はあたしにどうなってほしいんだ。

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