キミは当て馬、わたしはモブ。
それから、一ヶ月後の現在。
寝る前に、気付いた。
――――いや、なんにも進展してないね?
閉じかけていた目を開眼させる。
思い返せば思い返すほど、なんにも変わっていない。
優斗と顔を合わせる度にあたしがニヤニヤしちゃうもんだから、それ以上のことを考えてなかった。
そういえば、結局どこがよかったのかも聞けてない。
やばいかも……せっかく気持ちに気付けたのに、何もしないなんてもったいないよ!
やっぱりあれだ、最近ちょっとサボってたけど早起きだ!
それで、幼なじみらしく優斗のこと、起こそう!
おさもぐの幼なじみちゃんみたいに優斗の布団に入っちゃったりして、優斗をびっくりさせちゃったりなんかして!?
スマホを掴んで、アラームを設定し直す。スヌーズを入れて、音量はマックス。よし!
「今度こそ、起きてみせる!」
……その夜、夢を見た。
優斗が熱い眼差しであたしのことを見つめて、体いっぱいに閉じ込めてくれる夢。
意外と男の子なんだなっていう胸板に頬をこすりつけながら、あたしは多幸感に包まれて心地良くなっていた。
このまま終われば、ハッピーエンドだったのに。
優斗が言ったんだ。
「アカネ、早く僕を楽にしてくれ」
……って。