キミは当て馬、わたしはモブ。
あたしの渾身の早起き記録を軽々越えてくるなんて、優斗、侮れないやつ!
気まずそうな優斗を隣に座らせて、朝食をむしゃむしゃ頬張る。
「……あの、アカネ。さっきは……」
「アカネ、あんた早起きできるようになったってね! お母さん嬉しい~!」
何か言いかけた優斗に被さって、お母さんが嬉々として話す。
「やっと優斗くんいらずになるってことよね!」
その言葉に、ピンとひらめきが生まれた。
そうじゃん。
あたしが自力で起きれば、優斗はこれから今までより多めに寝られるようになるってことじゃん。
ならあたしが優斗を起こすのも不可能じゃないってことじゃん!
早起きは三文の得ってこういうことなんだ!
「そうなの! 優斗、もうちょっと遅く起きてもいいんだよ!」
「え? あ、はぁ……」
ふわふわした返事をされて、首を傾げる。
優斗にも得のある話だと思うんだけどなぁ。
「おまえ、怒ってないの?」
優斗があたしの耳元に口を寄せてきた。
「何を?」
「…………あっそ」
そっぽを向かれた。
なんか不機嫌?
あたしが早起きできるようになったの、もっと一緒に喜んでほしかったのにな。