キミは当て馬、わたしはモブ。


 その中で一番の興味を持って帝塚くんを見るのは、ただただ純粋に誰か知りたいだけのアカネちゃんだった。



「えー! だれだれ!? このクラス!?」



 ……あなたです。



「アカネ!」


「ぐえっ」



 中村くんがアカネちゃんの襟首を掴んだ。


 わたし達の味方、中村くんしかいなくない? 彼は大事にしないと。



「ごめん。こいつには厳しく言っとくんで、許して」



 中村くんにこんなこと言われちゃったら、頷くしかなかった。


 ねっ、帝塚くん! もう余計なこと言わないよね!


 ちらちらと目配せする……も、帝塚くんの目線はアカネちゃんにしか向いていなかった。


 おいおい? やめろよ?



「…………まぁ、はい」



 よかったーーー!!


 おとなしく頷いてくれた帝塚くんに心底安心する。


 反対に帝塚くんは、ちょっと悔しそうに唇を結んでいた。


 あー、これはたぶん、告白のタイミングだったっぽい。


 なんでわかったかっていうと、完全にアカネちゃんを見る目が熱っぽかった。


 アカネちゃんと喋れるタイミングなんてそうそうないし、行こうと思ったけど踏みとどまったんだな。


 わたしからしたらラッキーだったけど。でもなんで、やめたんだろう?


 空気読まない帝塚くんなら、言っててもおかしくなかったのにね。

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