キミは当て馬、わたしはモブ。
「人生で初めての緊張かもしれません」
昇降口で待ち伏せされていたわたしは、なぜか帝塚くんと傘を並べて一緒に帰っていた。
こんなことするから誤解されるんだけどなぁ。帝塚くんって本当は馬鹿なのかな。
「人生で初めての緊張かもしれません」
わたしが反応しなかったから、二回言ってきた。
これ、ずっと無視してたらずっと言ってくるのかな。嫌なんだけど。
はぁ、会話くらいはしてあげてもいいか。
「……告白?」
「はい。まさか俺が躊躇することがあるなんて思いませんでした」
「躊躇なかったとしても、あの場では言うべきじゃなかったと思うけどね……」
「どうして? あのとき言えたらクラス全体に情報が行き渡り、皆に応援され、俺とアカネさんはくっつきます」
「応援してもらえるほど人望があると思ってるの?」
「あ……。なるほど、盲点でした」
あ、馬鹿だなこの人。
とはいえ、頑張れば友達なんてすぐにできそうなものだけど。
空気読めない、というか読まないところはあるけど……わざと読んでないなら、わざと読むことだってできるでしょ。
わたしなんかより、まず男友達を作ったほうがいいと思うなぁ。