キミは当て馬、わたしはモブ。



「優斗~! 今日も家行っていい?」


「はぁ? やだ」


「なんで!? 昨日の続きしようよ!」


「だってアカネ下手だし」


「経験が浅いだけだし……いつか優斗に参りましたアカネ様って言わせてみせるし」


「いや、無理でしょ」


「無理とか勝手に決めつけないでよっ!」



 ……これが、マリカの話じゃなかったらもっとよかったんだけどなぁ。


 下校前、今日最後の盗み聞き。


 今日も最後まで優アカは尊かった。


 ただ、なんというか……物足りないというか?


 いや、そりゃあ二人はただの幼なじみで友達ではあるんだけど、もう少し刺激がほしい。もっとラブ度の高いイベントが。


 お互いに意識してないっていうのは、わかりきってるけどね。


 だから脳内妄想で補完することにした。


 たぶんこのあと二人で中村家へ入って、二人きりでゲームをするだろう。


 そしてアカネちゃんが負けまくって、中村くんに八つ当たりをするんだ。


 それから中村くんが勝ち誇った顔をして。



「じゃあ僕の言うことひとつ聞いてもらおうかな」


「なにそれ!? そんな約束してないんだけど!?」


「今決めた」


「ぐぬぬ……っ、なんだよ! 言ってみろ!」



 ってな感じで……。



「ここの超人気ケーキ買いに行って。一週間以内な」


「こっっっの、鬼ぃ!!!」



 あ、ダメだ。わたし、原作準拠の二次創作しかできないみたい。

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