キミは当て馬、わたしはモブ。


 困った。わたし、ここから二人をラブラブな雰囲気にできる自信ないよ。


 かといって無理矢理くっつけようとするのも、解釈違いな気がする。


 やっぱりわたしはあくまで、恋愛感情のないままでイチャイチャしてほしいのかな。



「じゃああたしが勝ったら夕飯奢りね!」


「その言葉このまま返すけど。勝つ気しかしないな」


「こっちのせりふ!!」



 そうこうしている内に、二人は聞き捨てならないことを話して教室を出ていってしまう。


 ただ、あまり詮索しすぎないというのが生モノカプにおいての自分ルールだ。


 さてと、わたしも帰ろうかな。


 いつも一緒に帰っている友達の方を見ると、どうやら別のクラスの男子に話しかけられているようだった。


 ……あ、もしかして、告白?


 これは声をかけるなんてとんでもない。わたしは空気を読んで一人で帰ることにした。ちゃんとラインにも連絡を要れておく。



「……彼氏、できちゃうのかなぁ」



 昇降口で靴を履き替えながら、一人で呟く。


 彼氏できちゃうってそれは、わたしと接する機会が減っちゃうんじゃないだろうか。うーん、寂しい。


 かといってわたしも彼氏を作ろうなんて思えるわけないし。


 ……恋って、どこからが恋なのかも、よくわかってないのに。


 ぼうっとした頭で靴を地面に置いたとき。



「――好きです!」



 なに!? 今日は告白が成功でもしやすい日なの!?

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