キミは当て馬、わたしはモブ。


 今までの苦労を思い出しているのか、遠い目で深くため息を吐く中村くん。



「実は昔からわりとモテるほうだし、告白も何度かされてるけど、全部無自覚でフッてきてる」



 漫画で見るような展開だ……。


 道理でおかしいと思った。あんな可愛い子、男子が放っておくわけないもんね。



「だからいくらロマンチックでも、はっきり言わないと伝わらないよ。ちなみに、好きって言うだけじゃ弱いから」



 えぇ……?


 じゃあ、告白を成功させるには、



「今からあなたに愛の告白をします! いいですか、これは友情や人として好きなどという意味ではなく、恋人になりたいという願いのこもった告白ですよ! 好きです!」



 とでも言えばいいのかな……?



「そうですか……。じゃあ俺は作戦も失敗して、告白も失敗したってことですね……」



 帝塚くんの落ち込み度は限界突破していた。



「……どんな作戦だったの?」



 謎解きだったりソープフラワーだったり、だいたい何をしたかはわかってるけど。



「聞いてくれますか」



 うっ。帝塚くんはキラキラした目で見てくる。今朝聞いてもらえなかったの、そんなに悲しかったのかなぁ。

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