キミは当て馬、わたしはモブ。
「えっと……その人とは最近仲良く……? 仲良くないけど、話すようになって」
「どんなやつ?」
「……頑張り屋?」
「なんで疑問系なんだよ……」
「だから、あんまり仲良くないんだって」
「ふーん……んで? そいつが?」
「クラスに推しカプがいるんだけど、その崩壊のカギを握ってて……」
「推しカプはさすがに幼なじみ?」
「それはさすがに幼なじみ」
「ピンポーン! その男が和花のことを好きで、それに嫉妬した推しカプも加わり、和花を狙って争奪戦をしている!」
「不正解です。……よくそんな答えが出るね」
「だって和花は世界一可愛いからいつ取り合いになってもおかしくない」
「おかしいよ」
お兄ちゃんの思考回路が。
睨み付けるわたしに、お兄ちゃんは「ごめん」と笑って頭を撫でてきた。
こういうときだけすまんじゃないの、ずるい。
「和花は推しカプが崩壊するのが嫌なんだな」
「うん。何があっても、ずっと二人でいてほしいんだ。それに……」
「それに?」
「その人、ちょっとみのるくんに似ててほっとけない……」
「結局みのるくんかい」
……だって、嬉しくなくても笑ってるんだもん。