キミは当て馬、わたしはモブ。


 生気の抜けた顔で、乾いた笑いを出す帝塚くん。


 う……ちょっと、わたしまで悲しくなってきちゃった。


 慌ててアカネちゃんはフォローする。



「あ、えっと、なんだろ、高嶺の花っていうか、高級食材っていうか。あたしが仲良くするには、恐れ多いって感じなの」



 できていない。どっちにしろ仲良くはならないって意味だからね。


 むしろ詳しくわけを説明してもらっただけになっちゃったな。



「ま……待ってください。俺と佐久良は友達です。そして、アカネさんと佐久良も友達。つまり友達の友達は友達ということで、俺達も友達なのではないでしょうか」



 なんとか帝塚くんは反論をひねり出す!


 わたしはいつの間にか応援してしまっていた。だって今日の帝塚くん、なんだかすっごく不憫だった!



「あー……そういう理屈は、あるよね」



 理屈とか言われちゃったよ……。



「アカネ、おまえ」


「優斗。優斗は違うって言えるの?」


「……っ」



 止めに入ろうとした中村くんさえ、ねじ伏せられてしまった。


 でも、中村くんは次の瞬間、腕を伸ばして……。



「……おまえ、いつまですねてるんだよ」



 わたしの腕を掴んだ。


 え? なんでわたしの腕?



「いいか、今から佐久良さんにフラれてやるから、さっさと元気出せ」



 はい……?


 な、なんでしょうか……?

< 85 / 219 >

この作品をシェア

pagetop