キミは当て馬、わたしはモブ。
その後ちょっと機嫌を戻したアカネちゃんは、わたしの隣から中村くんの隣に移動した。
本当は、ずっとそこにいたかったのかもしれない。
中村くんがわたしに頭を下げると、アカネちゃんも続ける。
「ごめん佐久良さん、巻き込んで。告白なんてしようとして……」
「大丈夫だよ。全然気にしてないから」
わたし、この二人には謝られてばっかりだな。
それよりも帝塚くんの様子が気になるんだけど……。
「勘違いしてほしくないから言っておくけど、アカネは別に僕のことが好きとか、そういうのじゃないよ」
「えっ!?」
嘘でしょ!?
帝塚くんに意識を持っていかれかけてたけど、その一言で完全に中村くん側に傾いた。
さすがにその言い訳は苦しいよ!?
「あー……やっぱりそうなるんだよ……。ほらアカネ、自分で言って」
「うん。あのね、あたしより先に優斗に恋人ができたら、学校に行けなくなっちゃうの」
「それは、ショックだからとかじゃなくて……?」
「違う違う。朝あたしを起こしてくれる人がいなくなって、寝坊するからだよ」
「は……」
なんだそれ……。
「ほんと暴論なんだよ。でも、アカネの母親からもお願いされちゃって……断るに断れないんだ」
呆れた様子で言う中村くん。