キミは当て馬、わたしはモブ。
キミは当て馬じゃなくて


 めっっっっっっっっちゃくちゃ恥ずかしい!!!!


 朝、目覚めた瞬間から知恵熱が出た!


 顔の熱が治まらなくて体温を計ってみたけど、ただの微熱だったから学校に行かされた。


 最悪だ……。


 帝塚くんにあんな姿を見せるなんて。あまつさえ推しカプへの介入を容認してしまうとは。


 ずっと重ねていた。みのるくんに恋していたわたしと、帝塚くんのことを。


 わたしにできないことをあっさりとしてしまう帝塚くんがかっこよくて。


 かっこよくて……それで……。


 あれ?


 あそこの、校門の前にいる、笑顔で手を振ってきている、爽やかイケメンって……。



「佐久良……!」


「誰!?」


「え? ……帝塚秀司と申します」



 あっ、よかった。戻った。



「佐久良、記憶喪失にでもなりました? 病院に行きますか?」


「おかしかったのは帝塚くんなんですけど!?」



 勝手に頭おかしい認定しないでもらえるかな!?


 怒りに任せて言葉を発しただけなのに、くすっ……と降り注いでくる笑い声。



「よかった。佐久良がいつも通りで」


「え……な……」



 朝の熱がぶり返してくる。


 胸の奥がぎゅっと抱き締められたみたいな感覚も襲ってきた。


 違う……さっきのは、わたしの脳が勝手に帝塚くんを爽やかに見せてただけだ……!

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