騙し愛
「男は強く、女は慎ましく生きなさい」

「女は男を支える存在なのよ」

蕾が女の子らしくないことをすると、両親は激しく怒った。特に母親には行動をいつも管理されているようなものだった。

女の子だから、ズボンは履かない。女の子だから、少食。女の子だから、礼儀作法はきちんと。女の子だから、虫には触らない。女の子だから、ゲームをしてはいけない。女の子だから、アルバイトをしてはいけない。

そんなしてはいけないことを壁一面に書かれ、蕾は自由に過ごせる友達を何度も羨んだ。両親からは「女の子らしい子と友達になりなさい」と友達まで決められてしまっていたのだ。

蕾が高校二年生の頃、父が交通事故で亡くなった。自分を縛る鎖が少し外れたのだ。父の死を機に蕾は上京することを決め、母には「きちんと連絡するから」と説得をして家を飛び出した。

東京に来て、蕾は初めて自由というものを知った。ずっと履いてみたかったスキニーパンツを履き、夜の街を歩き、たくさんの友達を作って遊ぶ。これほど幸せなことはない。
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