嘘つきとカゲ。
するとじいちゃんはもっと顔をくしゃくしゃにさせて、
『そうかっ、すごいな、空。すごいぞ!』
と、僕をぎゅうっと抱きしめ返してくれた。
僕のお父さんは、僕も覚えてない位の小さな頃に亡くなったらしい。
お母さんは"片親だけだと、やっぱり父親が恋しくなるのかしら。だからお義父さんにべったりなのね"なんて言ってたけど、僕にはよく分からない。
お父さんという存在が僕にくれる愛情と、じいちゃんがくれる愛情が似ているのか、似ていないのか。
僕にとってはそんな事どうでも良いのだ。
じいちゃんはじいちゃん。
僕の大好きなじいちゃんに、お父さんのカゲを重ねていたとしても、両方を大好きな事に変わりないのだから。