嘘つきとカゲ。


次の日、僕は"何か"が階段を滑り落ちる音と、お母さんの足音と悲鳴で目が覚めた。


『お義父さん!大丈夫ですか!?お義父さん?』

お義父さん…じいちゃん、どうかしたの?


僕は眠い目を無理やり開けて、廊下まで這いつくばるようにして出た。

僕の部屋は二階で、吹き抜けの造りの家だったので、廊下の柵から下を見れば一階まで見渡せる。

そして、手すりの間から下を覗くと、

『じいちゃ…何…じいちゃん!!』

じいちゃんは階段の下でうめきながら丸まっていた。

お母さんは救急車を呼んでいるのか、慌てた様子で電話をかけている。

僕も慌てて階段を駆け下りてじいちゃんのそばにしゃがんだ。

『じいちゃん!じいちゃん!!どうしたの?痛いの??じいちゃんっ』

僕の声が聞こえているのか、少しだけ『だい…』と聞こえたが、すぐにくぐもった声に変わった。

どうしよう…じいちゃんっ…

僕は何も出来ない自分が悔しくて、本当はじいちゃんが泣きたいはずなのに僕が大声で泣き出してしまった。

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