嘘つきとカゲ。

じいちゃんの部屋は一階にあって、二階に来る事はほとんど無い。

いつもなら二階に用事があればお母さんに行って貰っていたりするのに。

『…教えん』

じいちゃんは少し悔しそうにしながら目線を逸らした。

『じいちゃん?』

僕が覗き込むようにして見ると、僕の髪をわしゃわしゃっとかき混ぜて、

『気にするな』

と一言言ってから、はにかんだような笑顔を僕とお母さんに見せた。

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