源氏物語〜憧れの人からのご寵愛〜

藤壺の中宮

|《光の君side》


わたくしにも憧れの人、というものは存在するのです


しかも叶わない相手


そう。かわいい妹君のお母様であります、藤壺様です


幼い頃、私の実の母上であります桐壼様がお亡くなりになり


帝が悲しんでる時に少しでも似ている方を、ということで入内した宮様が藤壺様でした






「ああ、藤壺様に会いたい、お目にかかりたい」


「惟光、藤壺様のところにいってくる」


「かしこまりました」



もちろんわたしはもう元服の儀もしたから御簾の向こうへは行けない


でも




御簾越しでもいい




ただ





お目にかかりたい













「失礼いたします。藤壺様、光の君様がお見えになっておりますがどういたしましょう」


「あら、なぜ光の君が?

お通しになって」


「かしこまりました」






「お久しぶりです、藤壺様」


「光の君、御元服おめでとうございます。」



ああ、だめだ




「奥様も入内なさって、」




これ以上何も言わないで




「あなたの晴れ姿を拝見できたことを嬉しく思います」


限界…




「本当にそのように思いですか?」



「え…?」


「私は嬉しくありませんでした、もうあなたのことも御簾を越しでしかご拝見できなくなる…!」


「何をおっしゃるのです。いつまでも母に甘えててはいけませn」



「母ではありません!!」


ガタンガチャンっっっ


「な、何を?!」


「初めて出会った時からあなたのことを母としてみたことは一度もありません!」


「…?!」



「好きです、藤壺様が…。

やっと言えた……」


「んっ…

何をするのです!!私は帝の妻でありあなたの母ですっ

光の君がおかえりになります。」






「藤壺様っっ!!」



バタン












|《藤壺side》


「どうして……うっ」

涙が止まらないのでした


でも



初めて『私』を好きと言ってくれる人に出会った




帝もご寵愛くださるも、結局は昔愛した桐壺様に重ね合わせてるだけ



『私』を見てくれていない





「……っ」








この時から藤壺様は悩みに悩み、気分が優れないのでした。

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