23時41分6秒
いずれ彼は私の手によって死ぬことが
決まっている。
そうなれば私の人生も終わったものだ。
主導権は私にあるのだ。
それなら死ぬまでの間少しだけ
遊んでもいいのでは
ないだろうか?
今まで私が苦しんできた間も
何も考えずにこんなに高くて
美味しい料理を味わっていたのだ。
天国と地獄の苦しみを与えるのが
一番の復讐ではないだろうか?
「あの…やっぱりいきなり
過ぎますよね?」
考え込む私に彼は申し訳なさそうな
様子で尋ねる。
「いえ…わたしでよければ
是非、よろしくお願いします」
精一杯の作り笑顔は
引きつっていなかっただろうか?
「本当ですか…?
こちらこそ、よろしくお願いします」
彼は体の力を少し抜いて
安堵の笑みを浮かべた。