23時41分6秒



彼の言葉で、私の心は今までにない
じんわりとした温かい何かに包まれた。

母が亡くしてから殆ど笑うことが
なくなっていた。

何事にも面白い、楽しいと感じる
余裕がなかったのもあるが、
一番は母は苦しんで死んでいったのに、
私が笑顔で過ごすことが申し訳なく
感じていたからだ。

自分が笑顔でいることを
許されたような気がした。


でも、この笑顔を彼に向けることは
許されることではない。

私は彼と笑い合うために付き合って
いるのではない。

全て復讐のためだ。
目的を忘れてはいけない。

これはただのお遊びに過ぎないのだ。

そう自分に言い聞かせると
自然と緩んだ頬が元に戻った。


< 130 / 221 >

この作品をシェア

pagetop