23時41分6秒
あの頃の自分と全く変わっていないと
思っていた。
彼と出会い、言葉を交わし、触れたことで
少しずつ心に変化が現れていることは、
認めざるを得なかった。
認めてしまうことは、交際関係において
主導権を握っている彼が、この先もっと
関係を深めていこうとする度に、
私を変化させ復讐計画から遠のいた
場所へと連れていくことを許してしまう
ことと同じだった。
寧ろ、認めてしまったほうが
気持ちも楽になった。
彼は母を不幸にした男の息子だ。
でも彼とその男は全く別物の人間だ。
私と彼は異母兄弟という形になる。
元々、恋愛なんて許されない。
もう彼のことは許して男への復讐の
ために彼の恋愛感情を利用させてもらおう。
きっと彼も身勝手な父の行動に
振り回されて苦労してきたに違いない。
彼を傷つけてしまう形にはなるが
少しは大目に見てくれるだろう。
それに彼には殺してしまうほどの
罪は無いのだから。