23時41分6秒
それと同時に、マリーがカウンターへ
飛び乗り、男性の元へとゆっくりと
近づいて来る。

男性の視線がマリーへ向けられた時、
私はマリーを抱き抱えようと手を伸ばした。


「痛っ」


左手の甲に鋭い痛みが走った。

とっさにカウンターにあった
紙ナプキンを手に取り、手の甲を抑えた。

拭っても、何度も傷口から顔を出す
丸く膨らんだ血と葛藤を続ける。


そんな私の視界の隅で、マリーは
男性の側で仰向けに寝転んでいた。


男性は、マリーのお腹を優しく撫でて
あげていた。

さっきまでの冷たい表情は消えて
とても穏やかな表情をしていた。

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