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「学生の頃からの友人の話なんだが、そいつは曲がったことが大嫌いで、真面目な性格だった。
その性格は、社会に出てからも変わらず、どんなことがあっても、彼は人を欺くようなことはせず、常に正しく生きていた。
社内や、取引先での評判も良く、業績も非常に優秀だった。
幹部の間でも、社長は彼に重要な役職を与えるだろうと噂されていた。
だが、どれだけ本人が優れていて、周りから慕われていようが、全員から好かれているとは限らない。
一部の人間から、妬まれていたんだ」
男性は、空になったカップをぼうっと見つめながら続けた。
「そして、恐れていた事態が起きてしまった。彼はありもしない疑いをかけられ、会社を去ることになった。
後にその疑いを裏で工作していた人間が、仲の良い弟だと知った彼は、酷く落ち込んでいたよ」