23時41分6秒

今まで何度も、愛しさと憎しみの間で
揺れ動いてきた心は、もう限界だった。

頭にどれだけ憎しみの言葉を浮かべても、
心に植えつくことはなかった。

この部屋に居続けたら、愛しい気持ちを
抑えられなくなる。


「…愛してる」


囁いた言葉は、彼の耳に届くことはなく
時計の秒針の音に掻き消された。


あと1分だけ。

この部屋を出るまでは、彼を憎まず
愛する自分を許そう。
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