23時41分6秒

彼は、春乃が好きだから
私に一度も好きだと言わなかった。


照れ屋でも、口下手でもない。


あの憎たらしい男と同じ血が流れる、
善人の皮を被った最低な男なのだ。


目の前に広がった絶望の隙間から、
二人が並んで歩く姿が見えた。

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