23時41分6秒
ホテルの部屋のドアを開け、彼に先に
入るよう目で促す。
彼が、ベッドのある部屋へ入ったのを
確認し、音を立てないように鍵を閉めた。
「さっきから、様子がおかしいけど…
何か気に障るようなことしたかな?」
自分に非があることすらわかっていない
様子に、呆れて笑ってしまう。
「…おかしいのは、
あなたのほうでしょう?」
しんと静まりかえった部屋に、
私の低く冷たい声が響く。
彼は、眉間に皺を寄せて考え込んでいる。