23時41分6秒

「私にも言えないようなことなんですね」


「でも、時期が来たらちゃんと話すよ。
 約束する」


「…信じてほしい。約束する。
 あなたの父親も同じような言葉を並べて、
 何人もの女性を騙し、傷つけて
 きたんでしょうね」


彼の顔から血の気がひいてゆく。


「もしかして…君も…」


彼は、膝から崩れ落ちた。
口に当てられた手は、微かに震えている。


「あなたも、あの人と同じね」


そう叫んだ。

暴行された時の、口元の傷が少し痛んだ。


あの時、あの男も私と同じことを
叫んでいた。


お前もあいつと同じだと。
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