23時41分6秒
Ⅸ
息絶えた彼の顔に、最期の穏やかな
微笑みが重なると、ふつふつと
怒りが込み上げてくる。
長い間、私はこんなにも苦しんだのに
どうして彼は笑って死んだのか。
復讐は成し遂げた。
でもどこか煮え切らない気持ちがあった。
彼は死んだ。
あの男の、一番大切なものを
奪うことができた。
母も、天国で喜んでいるに違いない。
「お母さん。やっと……、
やっと無念を晴らすことができたよ」
天を仰ぎ、笑顔で母に告げる。
返事はなくても、心の中は
達成感で満たされていった。