23時41分6秒
息絶える前の穏やかな笑みが、
目を閉じる度に浮かんでくる。
次、目を開けたら消えてしまい、
二度と浮かばないような気がした。
目を開けるのが怖かった。
彼の最期を忘れたくなかった。
お母さん。ごめんなさい。
やっぱり私は、彼のことを…
そう心の中で呟いた時、心の奥底に
閉じ込めた入れ物の蓋が開いた。
愛しい気持ちで、心の中が満たされる。
時折、後悔と罪悪感の破片が
チクリと心を刺した。