23時41分6秒


地面に落ちそびれた滴は
次々と男性の手入れの行き届いた
黒い革靴で弾み、
不規則なリズムを刻むと
地面へと静かに流れてゆく。


目の前の光景が映画のワンシーンのようで
私の瞳にはスローモーションに映る。



とても美しくて心臓を優しい痛みが襲う。



思春期に恋い焦がれたあの初恋の
痛みと少し似ている気がした。


< 27 / 221 >

この作品をシェア

pagetop