23時41分6秒
きっと私の指先の感覚がおかしいのだ。
そう自分に言い聞かせさっきよりも
冷静になり、今度は母の両手を
私の両掌で包み込むように優しく触れる。
どんな時も私の両手を包み込んでくれた
あの温もりと柔らかさはもう消えていた。
冷静になろうが、両手で強くさすろうが
母の両手の体温が再び蘇る事はなかった。
それでも私は諦めずに温め続けた。
ただ、私の両手の体温がじわじわと
奪われていくだけだった。