オオカミさん家の秘密
「…綺麗なオッドアイだねー…」
昔からコンプレックスだった緑と紫の目。
「この紫、すごい綺麗。」
「…千星…」
昔から自分の紫が好きじゃなかった私。
虎はこんなこと思ってなかったかもしれないけど、イギリスにいた頃から私はこの紫が好きじゃなかった。
だから常に前髪で隠してたけど…
「なんだよ、狼めちゃくちゃ嬉しそうじゃん。」
「待って虎くん、狼ちゃん顔変わってないけど、なんで分かるの?」
「双子だからな。」
昔からポーカーフェイスは得意だったから。
人に感情察知されないくらいは余裕だ。
「2人のこと知れてよかった!改めて私と友達になってください!」
正直、大神家の事を知ったら離れていっちゃうと思ってた。
「…じゃあ、千星。」
「何?」
「千星のことも、教えて。」
「…私の事?」
「うん。」
…本当に大神家の傘下にある嵐王を裏切ったのか。
私たちには知る権利がある。
「…私、は…」
言いづらそうにしながら千星は重たそうな口を開いた。
【大神狼side END】

【相川千星side】
私はどこにでもいる普通の高校生。
家がお金持ちとか、親が有名人とかそんなのは全然ない。
平々凡々な一軒家に住む普通の女子高生なの。
普通に高校に入学して。
ここが結構身分の高い人の通うところだって知ってたから通いたくなって必死に勉強してやっと入学できた高校。
入学してしばらくたった頃、私は彼と出会った。
「何重そうなもの運んでんの。こういうのは男にさせたらいいの。」
何の気なしに私の手から大半を取り、重さがなくなった私の手。
「え、あの…」
「ああ、名乗ってなかったか。
俺、隣のクラスの汐見連って言うの。
お前は?」
パッと見て彼がお金持ちで強いことが分かる。
きっと裕福で友人関係にも困ってなさそうなそんな人。
「相川千星…です。」
「ああ、白井さんと同じクラスの…」
汐見くんはかっこよくて優しくて頭がいい。
入試もテストでも白井さんには勝てたことがないんだって。
汐見くんはあの大神一族のご令嬢に仕えているんだって。
自分も強くなりたいからと言って暴走族の総長だって言ってた。
「千星、良かったら今日俺らの溜まり場来る?」
そこからは早かった。
総長である連からみんなに紹介してもらって、下っ端のみんなとも仲良くなって。
連とお互い惹かれあって付き合い始めて。
総長の女ってことで嵐王の姫になって。
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