オオカミさん家の秘密
…千星を…殺す?
そんなこと…できるわけが無い。
でも、依頼が来た以上、任務を…

ー…時刻は夜8時。
私は殺し屋の時に着ている黒のパーカーを羽織って黒いマスクを付けている。
情報によると今、明里と千星は別行動で外にいる。
家に戻ってくるまでに…しないとな。
まず私が向かったのは…

「ー…誰?」
「僕は殺し屋Wolf。」
今、私の前には明里。
「なぜ?私の前に?」
「聞きたいことがあってね。」
「何?」
「なんで妹を始末して欲しいの?」
依頼書の内容は単純なもの。
確かに殺害して欲しい理由も書かれていた。
でも、納得ができない。
『妹の千星を殺して欲しい。
あの子から全てを奪い取って私が1番になりたい。』
…あんたは充分千星から奪い取ったじゃん。
今度は千星の命まで取るつもり?
「妹が、羨ましいの。」
「…」
「誰からも愛される妹が。」
…愛、が欲しいってことか…?
私には分からない。
「千星はみんなから愛される素質があるけど、私にはない。」
「…そんなことないんじゃない?」
少なくとも私からみた明里はみんなから愛を受けている。
「殺し屋って、どんな依頼があるの?」
「僕のことを詮索するの?」
…それは遠慮願いたいな。
ただでさえ自分のことあまり分かってないんだ。
「…どんな人から依頼があるの?」
…まあ、それくらいなら答えられるか。
簡単な質問だから。
「…色んな人からさ。
キミのように、家族を殺して欲しいとかね。」
…本当に色んな依頼がある。
全部読んでたらなかなか面白いよ。
なかなか色んな内容があるから見ていて面白い。
「…そう、で?
妹殺してくれるんでしょ?」
「…そうだね、それが依頼なら、僕は任務を遂行するだけさ。」
…私には、千星を殺すことが出来ない。
だって気づいてしまった。
これが、失いたくないっていう気持ち。

「ー…誰?」
「…僕は大神家の使い。」
…私は今日、初めて殺しの依頼を受けて仕事をしない。
「…狼ちゃんのお家?」
「相川千星、キミに殺害の依頼が来ているんだ。」
…こんなこと本当言いたくない。
けど、依頼が来ているのは事実だから。
それだけは覆らない。
「…依頼主は、お姉ちゃん?」
「よく気づいたね。」
「だって、私を疎ましく思ってるのお姉ちゃんくらいだもん。」
…嫌だなあ…
家族から依頼が来ているって本当は言いたくなかった。
私だったら絶対に嫌だ。
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