オオカミさん家の秘密
…?
なんだ?視線がこっちに…
「遅れました。大神狼です。」
令嬢モード…かったるい。
「お嬢、お待ちしておりました。旦那様の隣へどうぞ。」
「ありがとう。」
私の右に父さん。
左に虎。
正面に汐見。
「今日の総会はー……」

「ー…はああ…」
「お疲れだな。」
「うるせえ」
総会が終わって中庭を抜けて部屋に戻っている私たち。
「大体…」
「お嬢様!」
「…ちっ…」
「狼っ…」
後ろから汐見の声。
「先程の総会の件ですが…
俺がお嬢様のボディーガードをするという話は…」
…こいつほんとになんにも分かってねえなあ。
「それ、ボディーガードじゃないから。」
「はい?」
「私の代わりに人を殺してきて。」
…こいつの忠誠心と人間性はこれで分かる。
私の代わりなんかじゃない。
私の代わりなんか誰もいない。
「…できる?」
「…は、い…」
汐見の目が少し泳ぐ。
「…出来ないなんて言わないよね?
散々女の子を傷つけておいて。
その女の子を想っているならできるよね?」
「…千星の、ことですか…」
汐見。
お前は一体何がしたいんだ。
千星を族から追放して真実を見ようとしないで。
「私、役に立たない人は要らないの。
だから汐見。
嵐王の姫の事、もっとちゃんと調べなさい。」
なんのために私が徹夜までして調べあげたと思っているんだ。
「…それ、学校の女の子にも言われました。
千星のこともっと調べろって…」
「調べたの?」
「…」
下手したらあの資料自体読んでない。
「人を殺せなんて言わないから、もっと自分の族のこと調べなさい。」
自分の仕えてるお嬢様が言うんだ。
調べろ。
これ以上面倒事に巻き込まないでくれ。
【大神狼side END】

【相川千星side】
「今日から転校してきました、相田千穂です!」
狼ちゃんのお家から借りた茶色のウィッグ。
ロングタイプですごく綺麗なの。
あとは丸メガネかけて軽く化粧して完成。
狼ちゃんの計らいで相川千星のいた元のクラスに編入できた。
演技はバレちゃうから相川千星そのままの性格で行く。
「じゃあ席は…白井さんの隣で。」
「…」
狼ちゃんと目が合う。
学校にいる時の狼ちゃんって家にいる時とは違うんだよね。
「よろしくね、相田さん。」
ここでは初対面だからお互い初めましてからスタート。
「よろしく、白井さん。」
「仲良くしましょうね。」
…どちらかと言うとお嬢様モードか。
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