オオカミさん家の秘密
どうしたら外すだろうか。
「…貴方がその敬語外したら教えてあげる。」
まあ交換条件は必須だよね。
「え?」
「あとその嘘臭い笑顔も。」
「?!」
涼平は目を見開いてかなり驚いているみたいだ。
偽笑顔のことを見破られたのがそこまで驚くのか。
「なんでわかった?」
「…」
…なんでわかったんだろう…
「まあ、それはあとにしよう。」
そうか、自分が嘘の笑顔を作るのが得意だからだ。
同じようなことをしてる者同士分かるものがあるのかもね。
「白井さんとどんな関係?」
正直に話す時にパーカー被ってたら失礼だよね。
私はパーカーを脱いで目を真っ直ぐに見つめる。
「私がその白井心本人だから。」
「え?」
またしても空いた口が塞がらない。って顔してる。
「白井さんが狼様?」
「うん」
「…僕の片思いが…」
…ん?
片思い?
「誰に?」
「冗談は顔だけにしてください。」
片思い…?
「僕が狼さんに片思いしてるんだよ。」
…私に?
「それこそ冗談は顔だけにしてくれる?」
だって私の素顔知らないでしょ?
今の表の顔しか見てないからそう言えるんでしょ?
それに虎が組長になったら…
側近としてそばにいる私の戸籍はなくなるって聞いた。
そんな私が普通に恋をするなんて絶対無理だ。
それに恋がどんなものかもわかってない。
「冗談では無いです。」
私を見つめる涼平の顔は真剣そのもの。
かと言って私が涼平の気持ちに応えることは出来ない。
気持ちが嬉しいとか、そんなのもよくわかってないのに応えられるわけが無い。
【大神狼side END】

【汐見連side】
最近俺の仕えてるお嬢様がなんだかおかしい。
汐見家は代々大神の傘下として仕えている一族だ。
「お嬢様?」
「どうした?」
呼びかけたらすぐ反応するけどかなりぼーっとしている。
「汐見の倅。」
「あ、はい!」
後ろからお頭に呼ばれて俺はお嬢様と話す機会を逃してしまった。
「どうだ?そろそろ狼とは打ち解けてきたか?」
…打ち解けるも何も…
「最近あのようにぼやっとしていることが多くてな…」
何かあったんだろうか…
「何か困ったことがあれば言いなさい。」
「ありがとうございます」
俺は屋敷へ入っていくお頭を見送り、お嬢様を探す。
…流石に待っててはくれないか…
「虎様!!」
「おー、どうした?」
「…お嬢様って今どこに…」
「狼ならさっき出かけたぞ?」
着替え早くね?
袴だったよな?
袴ってそんなすぐに脱げるものなのか…?
< 22 / 25 >

この作品をシェア

pagetop