オオカミさん家の秘密
専属の医者がウチにはいるから…
「お嬢様!大丈夫ですか?!」
「どうだ香織…」
香織は薫の姉。
私の傷口を見て難しそうな顔をする。
「…できる限りの処置はします。
今血液不足なので…誰か同じ血液を…」
「俺がしよう。」
香織の後ろから誰かの声。
「虎…」
虎の腕の中には私の相棒の甲斐犬の赤虎が。
まだまだ仔犬の可愛い子。
「クーン…」
「…では、坊ちゃんお願いします。」
赤虎を撫でてからの記憶はない。
とにかく眠たかった。
【大神狼side END】

【相川千星side】
白井さん、最近来ないなあ…
白井さんの兄の健さんは来てるんだけど…
「あの…」
「ん?」
ニコニコと優しそうな笑顔。
「キミは…もしかして心の言っていた相川千星さんかい?」
「そ、そうですっ、あの…心さんは…」
「少し、事故に遭ってしまってね、今家で静養しているんだ。」
…事故っ?!
「あの、大丈夫なんですか??」
「気にしなくてもそのうち復学するよ。」
健さんは柔らかい笑顔で笑うと自分のクラスに入っていった。
白井さん…
「…相川さーん」
「あ、はいっ!」
「呼んでるよ?」
白井さんと仲良くなってからクラスメイトは何もしてこなくなったけど…
廊下にいたのは私の所属していた暴走族の嵐王。
私はここの、姫だったのになあ…
「千星、ちょっとこい。」
総長の汐見連。
私の恋人だった人…
連れてこられたのは校舎裏。
…ここで初めて白井さんと話したんだっけ。
「お前、また明里に嫌がらせしてるんだってな。」
…明里…
みんなして明里、明里…
「…してないよ…」
「嘘つくな!」
涼平…
「…してないもん…」
…嫌がらせ受けてたのは私の方なのに…
なんで…
私はただ、普通に高校生ライフ送りたいだけなのに…
私が何をしたっていうの…?

「あ、千星いた。」
「相川さんいたー」
連の後ろから聞こえてきた聞き覚えのある声。
「…白井…さん…」
「え?千星どうしたの?」
白井さんが連や他のみんなを退かせて私のところに来る。
「会いたかった…白井さん〜…」
「心でいいよ。
あなた達千星に何したの?」
「別に…」
「千星に近づかないで。」
「なあ、あんたいい女だな。」
連…
ほんとあんた誰でもいんだね。
幻滅したよ…
あんなに好きだったのに。
【相川千星side END】

【大神狼side】
呆れてモノも言えないってこういうことなのか?
嵐王ってこんなにバカなのか。
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