恋はオーロラの 下で
フェスタ前日は〇〇駅で待ち合わせ

現地近くの宿泊先を予約した。

今回なぜか未経験の今日子が参加したいと言い出し

さらに海老原さんは大学時代のサークル仲間を同伴するという。

私は特に意見する立場でもなく

半年近く海老原さんとの再会を待ちわびていたことを

気取られないよう万全の心構えをキープするつもりでいた。

待ち合わせ場所で何度時計を見たことかしれない。

「まだ時間前だな。」

その声は彼だ。

「海老原さん。」

私は思わず弾んだ声を出してしまい

慌ててぺこりとお辞儀をした。

「土屋さん、こっちはサークル仲間だった坂口一也だ。」

「坂口です。」

「土屋です。」

軽く会釈し合った。

スマホが鳴った。

今日子からだ。

「今日子。今どこ?」

「ゆり香、途中で事故に巻き込まれちゃってー。痛たた。」

「今日子!」

「救急車待ちなのー。」

「大変!」

海老原さんに話した。

「今日子さんが?ケガ?海老原、俺行ってくる。」

そう言うなり坂口さんがいきなりリュックを担いだ。

「坂口、俺も行くよ。土屋さん、病院はどこか聞いて。」

「はい。でもどうして?坂口さん?」

「土屋さん、坂口は和田今日子のフィアンセなんだ。」

海老原さんの言葉に驚いて私は坂口さんをまじまじと見た。

「今日子のフィアンセ?」

「ちょっと土屋さん、そんなにじろじろ見ないでくださいよ。美人に見つめられると恥ずかしい。」

私は今度は海老原さんを見た。

「とにかく、フェスタの予定を変更しよう。」

「わかりました。でもフィアンセの坂口さんでなくどうして私にかけてきたのかしら?」

「土屋さんのことは今日子さんから毎日のように聞かされてます。」

「私のこと?」

「そうです。ゆり香は私の無二の親友なんだから絶対誰にも渡さないって。」

「今日子がそんなことを?」

「もう耳にタコができちゃってますよ。ハハハ。」

今日子は坂口さんに私の何を話しているのだろうか。

今日子に電話した。

「もしもし、今日子?どこの病院かわかる?」

「ゆり香、〇〇病院に向かっているからー。」

「すぐ行くわ。」

ピッとスマホを切り私もリュックを担いだ。

「行きましょう。」

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