恋はオーロラの 下で
紅葉シーズンのピークに比べれば

はるかに少ない登山客に混じって私もリフトに乗り

山腹の下方で降りた。

彼らと同様にお手洗いを済ませ

身支度を再チェックした。

これからの登山道がたとえ知ったルートでも

自分の装備を再度確認することを私も習慣にした。

出発前のふもとの気温は5度であった。

山頂は当然マイナスである。

太陽が輝いても都会のように気温は上がらないし

この時点で快晴であっても登る斜面によっては

天候が急変する。

北側だと必ず雲が出る。

何本かあるルートの選択は

最終的に自分の身にふりかかるであろう危険を

事前に回避できるかどうかにつながる。

私は中レベルのルートに向かって歩き出した。

最近は女性の一人登山もよく見かけるようになった。

SNSでも多くの投稿がある。

以前は高速バスでスキーに行っていた私は

シーズン中は隔週の頻度で楽しんだ。

滑走のスピード感に気を緩めて

重いねん挫を経験したことで

骨折の恐怖を初めて味わい

スキーをやめてすんなり登山に移行した。

スリーシーズン楽しめる山を全身に感じることで

日々のストレスが軽減できた。

それは私にとってとてもラッキーなことであり

またメンタル面でも強くなれたとも思う。

私と同じルートの人が数人いたが

残りのほとんどが難関ルートへ流れた。

その人たちの後ろ姿を見送って多少うらやましい気持ちを覚えた。

どの山でも難関ルートへは必ずパートナーを同行する。

単独の私にはパートナーがいなかった。

もしいたらお互いの信頼や友情に結びつくものであると思うし

生涯大切にできる存在となる人だと思う。

いなくても上級コースを体験したい場合

同行者は簡単に探せた。

SNSもしくは協会に登録しているベテランの登山家に依頼できるし

ガイド役も兼用してもらえる。

ただSNSからの見知らぬ登山家は遠慮したい。

万が一の時にトラブルとなり嫌な思いをするのが目に見えるからだ。

今回ももちろん日帰りである。

前泊しても歩きたいと思う場所は尾瀬ケ原だ。

20キロある。

前半は平坦で楽な木道だが

後半は勾配がある。

しっかりとした登山靴が必須だ。


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