恋はオーロラの 下で
β. 想定外のアクシデント
私は意識して一人になれるよう歩調を遅くしたのだ。
つまり、これから渡る吊り橋に
私以外の誰かが同時に歩かなくてもいいようにだ。
他の人が歩くと必ず揺れる。
必要以上に揺れることに私の不安は倍増する。
それを前もって防ぐには自分一人で渡るしかない。
そうすれば揺れが最小限に抑えられると考えたからだ。
今の時点で私の後ろには誰も登ってきていないとわかっていた。
橋が見えた。
誰もいない。
一人で歩ける。
ホッと胸をなでおろした。
まず一度唾を飲み込んで橋に一歩足をかけた。
すかさず両手でロープをつかむ。
「よし。」
床板の隙間から真下の川の流れが視界に入った。
大丈夫よ。
まだちっとも揺れていないもの。
一歩一歩確実に進んだ。
前方に目を向けると橋の終わりが見えた。
行くわよ。
念のため後ろを振り返った。
誰も来ないとわかっても頬が引きつった。
ちょうど中間あたりだ。
水流の音に耳を傾けられる余裕が持てた。
そのまま歩いた。
あとちょっとだ。
残り5mくらい、4m、3m。
気持ちはすでに渡り切っていた。
と、いきなり足元の板が波打った。
「ヒッ!」
一瞬で全身に鳥肌が立ち
私はその場に突っ立ったまま固まった。
心の中で絶叫した。
「やめてー!」
自分一人ではない他人の揺れを
ロープを握る両手と両肩に感じた。
それは時間とともに大きくなった。
まるで誰かが橋の上を全力で走っているかのようにひどい揺れだ。
吐き気がしていた。
船酔いになったような。
目の前の景色がぐるぐる回って見えた。
目を閉じるとふらりと自分が後ろに倒れていくような感覚がした。
実際倒れたと後で知った。
つまり、これから渡る吊り橋に
私以外の誰かが同時に歩かなくてもいいようにだ。
他の人が歩くと必ず揺れる。
必要以上に揺れることに私の不安は倍増する。
それを前もって防ぐには自分一人で渡るしかない。
そうすれば揺れが最小限に抑えられると考えたからだ。
今の時点で私の後ろには誰も登ってきていないとわかっていた。
橋が見えた。
誰もいない。
一人で歩ける。
ホッと胸をなでおろした。
まず一度唾を飲み込んで橋に一歩足をかけた。
すかさず両手でロープをつかむ。
「よし。」
床板の隙間から真下の川の流れが視界に入った。
大丈夫よ。
まだちっとも揺れていないもの。
一歩一歩確実に進んだ。
前方に目を向けると橋の終わりが見えた。
行くわよ。
念のため後ろを振り返った。
誰も来ないとわかっても頬が引きつった。
ちょうど中間あたりだ。
水流の音に耳を傾けられる余裕が持てた。
そのまま歩いた。
あとちょっとだ。
残り5mくらい、4m、3m。
気持ちはすでに渡り切っていた。
と、いきなり足元の板が波打った。
「ヒッ!」
一瞬で全身に鳥肌が立ち
私はその場に突っ立ったまま固まった。
心の中で絶叫した。
「やめてー!」
自分一人ではない他人の揺れを
ロープを握る両手と両肩に感じた。
それは時間とともに大きくなった。
まるで誰かが橋の上を全力で走っているかのようにひどい揺れだ。
吐き気がしていた。
船酔いになったような。
目の前の景色がぐるぐる回って見えた。
目を閉じるとふらりと自分が後ろに倒れていくような感覚がした。
実際倒れたと後で知った。